手作りハムとベーコンの名店が、夜営業でひっそりと再オープン/

SAINT SCHWEIN (館山市)

公開日: 2018年11月15日

手作りハムとベーコンの販売からスタートして、人気のレストランとなった「SAINT SCHWEIN(セントシュバイン)」。30年の営業に幕を閉じたのは、2017年3月。惜しむ声を耳にしていましたが、実は場所を変えて、ひっそりと営業しているのです。


館山駅東口から徒歩3分。路地に光を放つ1軒の店

セントシュバインを訪れるべく、夜の住宅街を歩いていると、そこだけ浮かび上がるような灯りが目に入りました。もともと和室だった2部屋を、オーナーの松苗さんが改修してつくった店は、通りから中の様子が見えるように設計。



アールを意識して曲線を取り入れた店内は、和室だった痕跡を残すことなく、洋風な印象を与えてくれます。もう何年も前からここで営業している、老舗のような雰囲気。オープンしてまだ1年も経っていないとは思えません。



お店の前に広がるウッドデッキはまだ改修中で、将来はここに七輪を置いて、ソーセージを焼きながら食べられるスペースにしたいのだとか。今はソーセージ作りまで手が回らないけれど、「誰かが作ってくれたら食べたい!」と漏らす松苗さん。時間と手間をかけて丹念に作られたソーセージを、このデッキで、七輪で、自分で焼きながら食べるのを想像したら、ツバがじわっと出てきてしまいました。その時が来たら、ドイツビールと一緒に味わいたいものです。


アメリカ風、イタリア風、どちらがお好み?

ボリュームがあるアメリカ風ピザが好みの松苗さん。イタリアで具やチーズが少なめのイタリアピザを提供されたとき、具の少なさが原因で店主と喧嘩したことがあるとか。そんな松苗さんが提供するベーコンピザは、ゴーダチーズ、エメンタールチーズ、マリボーチーズ、モッツァレラチーズの4種のチーズと、具がたっぷり乗っかった具沢山ピザ。もちろんベーコンはセントシュバインの手作りベーコンです。



昔からの人気メニュー「レバースライス」も健在。必ずオーダーしてほしいメニューでもあります。かくいう私も、セントシュバインに来て、レバースライスを口にしないまま店を出た経験がないほど。ひとくち食べて、一緒に赤ワインを口に含んだときの幸福感と言ったら! 「ハム盛り合せ」にもレバースライスが入っているので、おすすめです。


店名は、旅から得た響きと豚への敬意から

SAINT(セント)は英語で「聖なる」、SCHWEIN(シュバイン)はドイツ語で「ブタ」という意味です。松苗さんは、大学時代探検部に属していたこともあり、若いころから海外を旅してきました。フランスのボルドーで一週間ほど居候していたとき、ボルドー近郊のワイナリー巡りをしたそうです。そこで訪れた「サンテミリオン」という町の名前が気に入って、ノートに書き留めていました。



店の名前を考えるときにそのノートを見て、仏語の「サンテ」を英語読みした「セイント」を入れることに思いを定めます。ブタに敬意を表したいけれど、英語の「ピッグ」だと響きがよくない。調べてみたら、ドイツ語でブタを「シュバイン」ということがわかり、「セントシュバイン」という造語の店名が生まれたのです。


やりたいことをやり切った今と、これから



ハム作り、ログハウス造り、レストランと宿の経営…。やりたいことは全部やったと言い切る松苗さん。今のテーマは、「“居酒屋”のオヤジと茶道の先生」。居酒屋はわかりますが、茶道の先生って…!?


結婚前、お正月に奥さんの実家へ行ったとき、茶道の先生でもある義理のお父さんがお茶をたててくれ、その姿が大層かっこよかったそうです。じつは偶然にも、松苗さんのお母様も茶道の先生だったとか。松苗さんにとって、母親がお茶をたてる姿は見慣れていたけれど、男性がお茶をたてる姿はとても新鮮に映ったようです。


結婚後、義理のお父さんから茶道を習い始めて、既に30年。「老後は茶道の先生になりたい」と思っていたので、以前やっていたセントシュバインを閉めて、茶道の勉強をしに単身京都へと向かいました。お茶だけでなく、掛け軸のかけ方、ほうきの持ち方、掃除のやり方、花の生け方などを住み込みで学び、京都の町で実際に目で見て、肌で感じ、体験する生活を4ヶ月送りました。そして館山に戻ってきた現在は、店の裏にある自宅で、週に1度、茶道の先生としてお稽古をしているそうです。


引き出しの鍵は、あなたとの会話次第


カウンターに座っていると、何やら一定のリズムを刻む音が聞こえてきました。音の出どころを求めて店内を見回すと、音の方角に石でできた時計が。ジャズが流れる店内で時を刻む音。興味深い話が次々と出てくるので、どんどん話に惹き込まれて時間の感覚を失っていましたが、なんと5時間もここで過ごしていました! たくさんの経験をしてきた松苗さんだからこそ持ち合わせている、たくさんの引き出し。南房総で生まれ育ったオヤジが営む“居酒屋”で、館山の夜を楽しんで行きませんか?


【店舗情報】

店舗名:SAINT SCHWEIN(セントシュバイン)

営業時間:18:00~23:00

定休日:不定休

所在地:千葉県館山市北条2015

駐車場:8台

TEL:0470-29-5548

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