イベントでも人気のパン屋。山の中にある小さな店舗へ行ってみよう/

かまどの火 (鴨川市)

公開日: 2018年11月02日

安房エリアでは、毎月開かれるマーケットや季節ごとのマルシェなど、大小さまざまなイベントが行われています。そんなイベントでいつも人気を集めている、手ごねのパン屋「かまどの火」。店に並ぶ行列や、売り切れと知って悔やむお客の姿、イベント終了前に売り切ってしまう店主の姿を今まで何度も目にしてきました。


そんなかまどの火の店舗があるのは鴨川市金束(こづか)、約7000坪の敷地を有する「アートガーデン・コヅカ」の山の中。細い山道の奥にあることを知っているだけに、普段はなかなか店舗まで行かないのですが、今回久しぶりに足を運んでみました。


ちょっとした冒険への入り口。手描きの看板を見逃さないで!

毎月新月の日に開催されるawanova(あわのば)マーケットでの出店

アートガーデン・コヅカの入口には、手描きの小さな看板があるだけ。ここを車で入って行くと、里山の木々に囲まれた細い道が上へ上へと続きます。車で上がって行くと、バイクが2台下りて来ました。ちゃんとすれ違えるかどきどき。もし車が下りて来たらどうしよう、という不安がよぎります。


金束交差点を上総湊(かずさみなと)方向へ向かうと、右手に見える小さな看板

さらに斜面を進んでいくと、ぽっかりと開けた空間が現れます。ここは、毎年7月に開催されている「コヅカ・アートフェスティバル」の野外ステージ。私も何度か訪れましたが、鳥や虫たちと共演しながらのライブに心がほぐれるステージです。


さらに上へと進むと、駐車場の看板と、整備された3台ほどの駐車スペースが目に入って一安心。車を停めてから、緑に囲まれた木々の中を歩いて進みます。ふと見上げると、まだ青いナツミカンにまぎれて、一つだけ黄色いナツミカンが実っていました。山の中だけあって、自然の恵みがたくさんありそうです。



カーブを曲がると、木々の間に大きな緑の屋根が目に入りました。白い壁には〒マークの描かれた白い箱、壁際には白く塗られたベンチが置かれています。頭上で手作りのヒンメリ(モビール)が揺らぎ、赤い木枠の窓の下には「天然酵母パン屋 かまどの火」の手描き看板が。窓の横にある、全面ガラス張りの戸。流木の持ち手に手をかけると、カウンターに並んでいるパンが目に入りました。


余計なものは入れない。素材の味を生かしたパン


かまどの火のパンは、国産小麦粉、オーガニックドライフルーツ&ナッツ、海塩を使用し、天然酵母はホシノ酵母と自家培養の酵母を使用しています。クロワッサンはバターを使っていますが、ほかのパンは油脂、砂糖、卵を使用していません。それはなぜなのか、店主の宮下広子さんに聞いてみました。


「食べるときにバターをぬることがあるでしょ。だから油脂はいらないかなって。ジャムをつけることもあるから砂糖もいらない。卵だって必須じゃない」。つけ加えるように、「それに、粉って本来甘いのよ」と教えてくれました。家族にアレルギーの人がいるわけでもなく、油脂、砂糖、卵を食べない生活をしているわけでもなく、単純に「粉の味を感じられるほうがおいしいと思う」と言う宮下さん。小麦粉本来の味を楽しむパン、それがかまどの火のパンが人気を集めている理由なのだと思います。


パンも、“かまどの火”も、きっかけはご主人

宮下さんは鴨川生まれ鴨川育ち。7年ほど東京で暮らし、画家であるご主人の昌也さんと鴨川に戻って来ました。店舗は自宅の一角にありますが、当初はお店をするつもりはなかったので、ただ家族とともに暮らすための家を探して見つけた場所なのだとか。ご主人が朝食にパンを食べるのでパン作りを始め、おすそわけした友人や近所の人から売ってほしいという声が出てきたことをきっかけに、パン屋を始めたそうです。



もともとお風呂場だった場所を改修してパン工房にしたとき、かまどの向かいの部屋が昌也さんの仕事部屋でした。仕事中、ガラス戸の向こうに“かまどの火”が見えたのがとてもよかったことから、お店の名前に。


ベーグルをゆでたり、ピタパンをあぶったりするときに使っている現役のかまどは、薪(まき)を燃料にしています。かまどがあって、山の水があって、ガスオーブンもあるので、東日本大震災の計画停電中も休まず営業できたそうです。


季節を感じる山の中で、季節を感じるパン作り


季節限定で登場するパンの材料は、家にあるものを使っているだけと言う宮下さん。ナツミカンの季節にはナツミカンピール入り、梨の時期には梨ジャム入りパンを作ります。私が店を訪れたのは、9月の頭。日本ミツバチの採蜜が終わったころでした。店内には、昌也さんと三男が一緒にやっている自家製はちみつが。壁には昌也さんが描いたポストカードやピンバッジも並んでいます。


虫や鳥たちの声をBGMに、厳選した材料を使い、手で捏ね上げられたパンは、里山の自然の中を歩いて辿り着く、小さなお店にとてもマッチしていました。山道の運転が苦手な方には、坂の下まで配達してくれるそうです。数に限りがあったり、留守にすることがあったりするので、ご来店の際は確認の電話をおすすめします。


【店舗情報】

店舗名:かまどの火

営業時間:12:00~(売り切れ次第終了)

定休日:日・火・水・木曜日 

所在地:千葉県鴨川市金束1722

駐車場:3台

Web:http://hoshimitei.com/kamadonohi.html

TEL:0470-98-0048

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