コーヒーは思想の飲み物! “人生に深みを与える1杯”を愉しめるカフェ/ブロワ珈琲焙煎所(館山市)

公開日: 2018年10月04日

館山の遺跡・赤山地下壕跡近隣の緑豊かな場所に、畑作業中の人が長靴のままフラッと店を訪れる、そんなカフェがあります。オーナー西村孝信さんが“自分の分身”だというこのお店は、個人店ならではのほかにはないカラー。「房総レモン珈琲」など、聞いたこともないけれど“安房地域ならありそう”な商品を、コーヒーにまつわる惜しみないチャレンジで作り出しました。そこには、館山から“珈琲の風”を世に送りだしたいとの願いがあるそうです。焙煎にはもちろんこだわっているコーヒーはすべて、日常価格なのに本格派。そんなカフェを訪れてみました。


作り込みすぎない焙煎所と、こだわりを共有できるカフェスタンド


「地元の人にまず愛されたいと思うので、肩ひじはらない気取らない感じを出したいなと思った」と、このカフェスペースについて切り出した西村さん。首都圏から来訪したという常連客と西村さんの会話が自然と耳に入ってきて、“好きな人は好き”なコーヒー談義を自由に共有できることが、このブロワ珈琲焙煎所の魅力そのものなのだと感じました。


平日は地元・館山や南房総の方の来店が多く、西村さんとの会話を楽しみに訪れるそうです。週末は首都圏からのお客も多く、豆だけ買うことを目的に、フラッと立ち寄る方も。オープンな雰囲気なので、お客同士が話をして過ごします。「何? 知り合いなの?」と西村さんが問いかけると「ここで初めて話したんだよ」と返ってくるそう。テラス席で景色を眺めながらくつろぐ人も、それぞれに自分時間を過ごしています。


“特別ではなく、日常”。コーヒーがある景色は、もの心ついたころから


西村さんはご両親がコーヒー好きで、もの心ついたころから家族の団らんの中に、常にサイフォンで淹れたおいしいコーヒーがあったそうです。一人暮らしをしてからも、ドリップで淹れるコーヒーのある生活を欠かさず、友人にもふるまっていたといいます。カフェをオープンした今、訪れるお客も「家族が帰って来るのよ」と集まりのために、コーヒーを求めに来ることもしばしば。温かな交流のそばにいつもあるコーヒーは、人の心に火を灯します。


住む人の温かさもさることながら「館山は温暖な気候なので庭先でレモンを育てているのが印象に残った」。そんなところから、館山ならではのコーヒー「房総レモン珈琲」が生まれました。「房総レモン珈琲」は、レモンを乾燥させミルでひいた豆にブレンドしたもの。とっぴな発想に思えますが日本ではなじみのないこの飲み方も、日常的に親しんでいる国があるといいます。レモンはこれからの季節が旬です。


都内在住から拠点を館山に移し、焙煎所およびカフェスタンドを開いたワケ


東京に住んでいた西村さんが館山に通い始めたそもそものきっかけは、趣味のサーフィンでした。仕事終わりの夜中に車をとばして、週末を館山で過ごすライフスタイルをする中で、寝泊まりのできる場所がほしいと、今のスペースを借り、その生活を2年ほど続けました。その間に、サーフィンよりも好きなコーヒーの焙煎をしてみたらという友人の助言があり思い立ったそう。会社員を続けながら、どんどんハマっていき、焙煎の量も増えたため、自作の焙煎機を製作したのだといいます。


もともと小さなころから機械いじりやメカが大好きで、なんでも分解して設計図をかいたり、大人になってからは古い車が好きで壊れた車を直したりしていたそう。古い車はパーツがないことが多いので、鉄を削り出して、溶接までも。それらはすべて独学で、焙煎機を作るのにも役立ったと楽しそうに当時を振り返っていました。「焙煎をする人は、だいたい機械いじりが好き。焙煎機自体、自分でメンテナンスして手をかけていかなければ維持できないもの。自分の焙煎の味を出すため、バラして改造していかないと続かないんです」。手をかけるおもしろさがあり、マシンに手をかけるとおいしいものができるのだと語ります。


首都圏から遠くないのに“別世界”。週末の館山で飲むコーヒーは「格別だった」


店をオープンする前に会社をやめた西村さん。仕入れの原価の高いコーヒー豆、それでも「おいしいコーヒーを高く提供していたら、意味がない。日常価格で提供するためにも、拠点が館山というのは利点が多かった。豆のよさにこだわり、おいしいコーヒーを気軽に楽しめる価格で提供したい」と、コーヒー好きの私からしたら、ありがたい志です。館山で「週末に飲むコーヒーが格別においしかった」のも理由だといいます。コーヒーはシチュエーションで味の感じ方が変わる飲み物。年齢とともに、都会での生活に疲れを感じていたこともあり「首都圏から近いのに館山の自然を見たら別世界で、なんかいいなと思った」と西村さんは話します。私自身も都内で生活していた際に、ときおりふれる自然がどれだけ癒やしになったか実感があるので、その話にいたく共感しました。


コーヒーに合うスイーツも。“ほろにが甘い”チョコブラウニーなんて、もう最高に合う!

そんな格別な自然のありがたみを実感する西村さんに、四季の中で好きな季節をたずねてみました。返ってきた答えは「秋」、その理由は「コーヒーがおいしい」こと。少し涼しくなった季節は、格別においしさを感じると。コーヒーとの付き合いかたも人それぞれですが、コーヒーの好きな人は多かれ少なかれ「こだわり」「うんちく」があります。生活の中で、落ち着いて思慮深く飲む“思想の飲み物”とコーヒーを例える西村さん。人生に深みを与える飲み物なのですね。「思想の飲み物・珈琲」を愉しむには、心の奥を探求する秋という季節はうってつけ。まもなく季節は秋。西村さんの言う“秋の格別なおいしさ”を味わいに、また足を運ぼうと思ったのでした。


【店舗情報】
店舗名:ブロワ珈琲焙煎所
営業時間:11:00〜18:00
所在地:千葉県館山市宮城78-3
定休日:火・水 ※焙煎は随時
Web:http://www.blowercoffee.com/
Facebook:https://www.facebook.com/blowercoffee/

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