石窯で焼かれた、“外パリッ、中ふわっ”なパンを生み出すお店/

石窯パン工房 そろそろ (鴨川市)

公開日: 2018年09月25日

県道89号鴨川富山線(かもがわとみやません)を曽呂(そろ)十字路に向かって車を走らせていると、ふと看板が目に入りました。山に囲まれ、棚田や緑の景色がきれいなこの道。ところどころ民家はありますが、お店が存在する雰囲気のない山の中。こんなところにパン屋!?と私の好奇心がムクムクと湧いてきました。


駐車場からのお散歩コース


看板が立っていた脇道へ入ってみると、広い空き地に「そろそろ駐車場」の看板が。車を停めてまわりを見渡してみましたが、お店はどこでしょう?


とりあえず、駐車場前の一本道を進んでみます。左側にある斜面の草刈りは手入れが行き届いていて、日当たりも良好。周囲の景色を堪能しながら1~2分歩いてたどり着いた民家の前に、「そろそろ」の小さな看板が。駐車場の看板の向こう側に見えた家が、石窯パン工房だったのです。


オーナーとパン工房の、ちょこっと履歴


お店の中に入ると、カウンターの奥にドーンと大きな石窯が見えます。とにかく、暑い! オーナーの佐藤さんとあいさつを交わしただけで、汗がどっと噴き出してきました。


自分で石窯を作った佐藤さんは、パン屋以外にもたくさんの“顔”を持っています。移住前は、サーフィンをするために相模原から鴨川に通っていました。在日米軍のレストランで料理をしていたこともあり、ピザやパン作りはお手の物。その前は、米国中心に世界展開をしている鉄板焼きレストラン「BENIHANA」のヨーロッパ1号店のシェフとして、ロンドンで腕を振るっていたことも。料理以外に不動産業、竹の釣り竿や、天然石のアクセサリー作りも行っていて、見せていただくとかなり本格的なものでした。それもそのはず、アクセサリーは渋谷の東急ハンズで販売していたとか。


そんな佐藤さんが当時勤めていた会社を早期退職し、お店作りに着工したのが2016年の12月。もともと牛舎だった建物の梁や柱を活かし、半年かけて改修しました。「普通のパン屋じゃつまらない」と、外国のWebサイトを参考に、夏から窯作りをスタートし、2ヶ月後に完成。2017年9月、手作りの石窯パン工房をオープンさせました。


お客さんも店主も、みんなで情報交換

パンは多いときで12種類。夏場は冬に比べ、種類も数も少し減ります。

オープンと同時にお客さんが入ってきました。「今焼きあがってるのはこれで、あと10分でこれが焼きあがるよ」と説明する佐藤さん。鴨川のパン屋で検索して、初めて訪れたという女性と、昨日も来たと言う常連のお婆ちゃん。好きなパンはどれですか?と聞くと、「レーズンくるみがいちばん好きだけど、3種のチーズパンも大きくて、いろんなチーズが入ってておいしいよ」と教えてくれました。



オープン当初から通っているという、常連のお客さんにもおすすめを聞いてみたところ、ブルーベリークリームチーズがいちばんだとの返事。3種のチーズパンも「焼きたてを切ると、中からとろ~っとチーズがでてきてたまらない!」と教えてくれました。そして、「私の殿堂入りです!」と彼女が手にしたのは、チョコブラウニー。これは、併設しているカフェのメニュー「ブラウニーアラモード」にも使われていて、温かいチョコブラウニーに、アイスが添えられて登場します。


「いろんな人が来るから、飽きないよ」と言う佐藤さん。確かに、私がここにいた数時間でさえ、お客さんからパンのことやおすすめのお店を教えてもらって、あっという間でした。お客さん同士がおしゃべりや情報交換をして、パンが焼きあがるまでの時間を楽しんでいるようにみえました。


その場にあるものを買って行く人。このあと焼きあがるのを待つ人。最後に焼きあがるパンも欲しいからと、予約をしてまた取りに来る人。佐藤さん曰く、欲しいパンを手に入れるには、前日夕方までの予約がおすすめだとか。


窯の温度変化をムダなく利用。そして将来は…


日曜だけオープンするカフェスペースからは、石窯でパンを焼く様子が見えます。窯の熱を500度まで上げ、パンを焼き、ケーキにクッキー、プリンを焼いて、最後は翌日使う薪を入れ、充分乾燥させるという活用ぶり。カフェでは、石窯で炒ったまろやかな味のコーヒーを飲むこともできます。そして、夏は外に出しているプルメリアやコーヒー、パパイヤの植木を、冬は窯の熱を利用した温室として、室内に入れるのです。


佐藤さんはサーフィン以外にゴルフや釣りもするので、それに付随してたくさんの仲間がいます。いずれはその仲間たちと、石窯料理のレストランを運営しつつ、蔵を改修してギャラリーにもしたいと話してくれました。


パンを一層おいしく食べられる、おすすめスポット

カフェは日曜だけなので、平日焼きたてのパンを手に、「そろそろ」から歩いて行ける、おすすめ“買い食いスポット”をご紹介!



まずはこちら。工房の敷地内にある、丸太のイスとテーブル。目の前の畑を眺めながらモグモグ。じつはこの畑から、パンの具材になる野菜が育っているのです。トマト、エダマメ、サツマイモ、ジャガイモ、タマネギなどなど。いま食べているものが、ここから生まれていることを知ると、ますますパンがおいしく感じられるから不思議。



お次はこちら。ビューポイントとしても佐藤さんが教えてくれた場所です。お店の前の道をまっすぐ進み、左にある坂道を上がって行くと、大きな椎の木に手作りのブランコが。その横には、コンテナや年季の入った椅子が置いてあり、地元の人が利用している雰囲気がありありと感じられます。



椅子がある場所に立って向こう側を見てみたら、「わぁっ!!」と思わず声を出してしまいました。この山の中から、太平洋とそこに浮かぶ仁右衛門島(にえもんじま)が見えるのです。仁右衛門島は、鴨川市太海(ふとみ)の沖合約200mにある、周囲4kmほどの島です。緑と、ところどころに黄金色の田んぼ、そして海と仁右衛門島。この景色を眺めながら焼きたてのパンを頬張る。あぁ、なんてぜいたくなのでしょう。


【店舗情報】

店舗名:石窯パン工房 そろそろ

営業時間:11:30~16:00(売り切れ次第終了)

定休日:月・火・金曜日 ※日曜はカフェ営業のため、店頭販売はピザのみ

所在地:千葉県鴨川市東222

駐車場:10台

Web:https://bakery-1370.business.site/

TEL:090-3699-8531

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