「この土地が好き。もっと知りたい、土地の人と触れ合ってみたい」そう思うことはありませんか。私は旅先で気さくに話しかけられると、自分のことが受け入れられたようで嬉しい。「自家焙煎珈琲店 Es bluht(エスブリュート)」は、会話に花を咲かせたいときに行きたい街カフェです。
館山のカフェは海や山だけでなく、市街地にも個性あふれる店舗がたくさん。そんな市街地に入った人だけが味わえる名店仕込みのコーヒーと、ステレオから流れるこだわりのBGM。そして、お客さん同士が紡ぎだす会話や、自然とあふれ出す笑顔たちで和やかな雰囲気のカフェです。
Es bluhtは館山市の中心部、北条交差点からバイパス127号線へと続く、国道128号線上の市街地にあります。休日になるとサイクリングをする人たちも多く通る幹線道路ぞいにあり、サイクルラックの設置も。
カフェを訪れたオリンピック出場選手がサイクルラックの設置を提案。ラックの高さも選手直伝
外に舞う香りが華やか。常連さんが多そうな雰囲気の中、扉を開けるのは勇気がいるかもしれないけれど、扉を開けると一変。マスターの笑顔が一気にホッとさせてくれます。
店内には、親交が深いマスターへと、絵本「わにわに」シリーズや「マオ猫」などで有名な絵本作家・山口マオさんが店内を描いた作品もあり、マオさんファンも必見!
重厚感ただよう椅子や店内の配色とマッチするマオさんの作品、マオさんファンの私は思わずテンションがあがってしまいました。マスターとマオさんの話題で盛り上がり、ワクワクがとまりません。
マオさんが描いたエスブリュート。マオさんの作品はこのほかにも。探してみて
店内はそのほかにも、さまざまな芸術のエッセンスがたくさん。味覚はもちろん、嗅覚に視覚、聴覚も心地よい刺激を受けて。昔はギターや歌も歌っていたというマスター。試みの一つとして、店内で音楽家とコラボしてカフェイベントも行われていくそうです。マスターの歌声も聞けるかも!?
Es bluhtとはドイツ語で「咲かせる」という意味。笑顔の花、会話の花を咲かせられるようなカフェでありたいというマスターの思いから店名にしたのだとか。
「Es bluht」の“u”は、ドイツ語表記はuの上に“‥”が。それが笑顔のマークに見えたそうで、お店のロゴに
人見知りな私が初めて訪れたときも、店名の通りマスターを介して、他のお客さんとも話がはずみ晴れやかな気持ちで帰路につきました。
安房の人はいい意味で、世話焼きが多い印象。地元の方と土地の話をすると、気さくに答えてくれるかも。一人時間をゆったり楽しむのもいいけれど、話しかけると会話がはずみそう。しかも風がそよぐようにフワッと会話が始まり、また自分時間に戻るというナチュラルなもので…。
あかね色に美しく輝く、コーヒーを温める器材
心地よいサウンドが流れる店内は、優しい笑顔と、穏やかな口調のマスターが丁寧に作り上げられるコーヒーの華やかな香りで包まれます。
マスターの蝦名錦哉(えびなきんや)さん。学生時代に、なんと夜逃げした物件の片づけを手伝った代わりに、その部屋で唯一魅力的だと感じた“コーヒーミル”をもらったのがコーヒーとの出会いだったのだとか。そのミルを用いて、家を訪れる友人にふるまったコーヒーが評判になり、現在へと繋がっていきます。
当時出会ったミルは、カウンターに飾られている
時がたち、地元館山で就職してからも趣味であり続けたコーヒー。介護職をしていたときに、「ご老人が、自分が接することで笑顔になってくれるのが嬉しかった。もっと自分の空間で色々な方と出会いたい。そして自分の好きなことで笑顔にできたら」との思いで、コーヒー修行の道へ。
「コーヒー豆の選別、自家焙煎、焙煎後の豆の選別と、妥協を許さない本物の味を味わってほしい」とマスター。まじめな中にもユーモアのある会話がまざり、どこまでも心地よく…。コーヒー通に有名な東京・南千住にある名店「カフェ・バッハ」で修業したのも、本物を追求したいという思いからなのだそう。深夜まで豆の選別をすることもあるという、逸品が味わえます。
そして「カフェ・バッハ」と共通する思いのひとつが、“コーヒーは人と人とのつなぎやく”ということ。マスターが醸し出す、土地の人と自然にふれあえる距離感。一瞬一瞬を大切にしたいという気持ちがあふれる街カフェです。
【店舗情報】
店舗名:自家焙煎珈琲店 Es bluht(エスブリュート)
営業時間:13:00~19:00(L.O 18:30)
定休日:月・木(祝祭日は営業)
所在地:千葉県館山市北条1543-1
駐車場:10台
Fecebook:Es bluht(エスブリュート)Facebookページ
TEL:0470-29-7012