東京湾の入り口にある館山は、外房(そとぼう)とよばれる房総半島の太平洋側でワイルドな波を、内房(うちぼう)とよばれる東京湾側の穏やかな波の両方を味わえる場所です。さまざまな顔を持つ館山の海ですが、今回は波が穏やかでまるで鏡のようだと例えられる「館山湾の魅力」を満喫できる、4ヶ所のスポットとともに紹介します。その中には、地元出身の私がお気に入りの穴場スポットも!
INDEX
館山湾は別名「鏡ヶ浦」と呼ばれています。その語源は、富士山を鏡のように映しだす波静かな入江のことで、北は大房(たいぶさ)岬から、南は洲崎(すのさき)まで続きます。
海へと沈む夕日
大房岬を南下すると、館山市の那古(なご)地区から館山地区まで弓なりの砂浜が5kmほど続きます。その先は沖ノ島という透明度の高い海と、豊かな生態系が魅力の島へ。そしてその先は洲埼灯台へと続きます。千葉県の地図上でもその形をとらえられるほどのカーブを描く大きな湾です。
また、砂浜や漁港、磯場と、さまざまな表情をもっており、館山湾は、生きたサンゴが見られる北限域でもあることでも有名です。そして遠浅の砂浜も多く波も穏やかなので、海水浴はもちろんのこと、SUPやシーカヤック、シュノーケリングやダイビングなどのアクティビティなど楽しみ方が無限大!
館山夕日桟橋から海を覗くと透明度が高く底が見える場所も
ちなみに、館山は「鏡ヶ浦から富士の見えるまち 館山」として「恋人の聖地」に認定されています。「恋人の聖地」とは、プロポーズにふさわしいロマンティックなスポットとして、「恋人の聖地プロジェクト」をNPO法人が展開しており、第三者の視点から見ても魅力あふれる場所だということがうかがえます。
それでは、館山湾を望めるおすすめスポットを紹介しましょう。まずは「恋人の聖地」認定を受けて市が設定した「聖地スポット」の3ヶ所の紹介です。その3ヶ所とは、「城山公園展望エリア」「館山夕日桟橋」そして「洲埼(すのさき)灯台」です。
実は恋人の聖地スポットは、私が大好きな場所でもあります。たまたまいつものように館山湾景を楽しんでいると、「恋人の聖地」の看板を発見しました。館山湾が好きな皆さんは、もしかしたらすでにこちらの看板を発見した場所もあるのでは!?
山頂にそびえる館山城を取り囲むように、児童遊園やクジャク園、本格的な日本庭園と茶室、博物館に梅園など、山一体が老若男女に愛されている公園で、館山城は館山のシンボル的存在でもあります。
海から見た「館山城」
特にハイキングが好きな方や、四季折々の花が咲いているので花を愛でるのが好きな方に、おすすめの公園。梅に桜、藤や椿など、いつ足を運んでも彩り豊かで目にも鮮やか。
城山公園の駐車場からすぐの藤棚
展望エリアは頂上の「館山城」のすぐ隣。ルートは二つあり、頂上に向かい右の坂を上ると中腹には児童遊園が。頂上までは急な坂が続きますが、森林浴をするのにさわやかな場所です。
山の中腹にある児童遊園
高台にある天守閣付近の展望エリアからは、眼下に広がるパノラマと、透明度の高い海が広がる沖の島、自衛隊のヘリコプターの離発着がよく見えます。観光客の撮影スポットや、ヘリコプター好きな子どもたちにも人気のエリアです。
中央左は自衛隊基地、ヘリコプターの離発着がよく見える
この展望エリアこそ、館山市街地を一望しつつ館山湾の美しさを味わえる場所。そして館山市街地の南に面した高台なので、館山の街並みを眺めつつ、館山湾が一望できるスポットです。
展望エリアから北側を見て
花と緑にあふれる城山公園は、「南総里見八犬伝」で有名な里見氏が作った館山城の一帯を指します。山頂の館山城と、中腹の館山市立博物館本館で、歴史に触れることもできます。
館山夕日桟橋は、海岸通りからなんと500メートルの長さがあり、桟橋形式としては「日本一長い桟橋」です。豪華客船や大型船も寄港するので、運がよければ普段なかなか目にすることのない船を見ることができるかも!?
桟橋の先、横に広がる桟橋に大型船が接岸
海に突き出ているので、海風をダイレクトに感じてさわやかな場所です。有料の海中観光船に乗船すれば、海上や海中から館山湾を楽しむこともできるのでファミリーにも人気です。
モニュメントは記念撮影に人気
また、桟橋や砂浜で糸を垂らし、釣りスポットとして利用する方も(桟橋先端部は釣り禁止です)。館山湾は四季折々、多くの魚類が生息することでも有名です。
左手に見える建物が「渚の博物館」
こちらの桟橋は「みなとオアシス“渚の駅”たてやま」の一部で、館山市の交流拠点施設です。無料の「海辺の広場」や「渚の博物館」、その施設内にはお土産屋さんや見晴らしのいいレストラン、海風を感じ大パノラマを望めるデッキも。観光スポットとして、多くの観光客でにぎわいます。
「渚の博物館」2階、展望デッキから望む沖ノ島(写真右側)
海に落ちる夕日が赤く染まりきれいに見えるので、アマチュアカメラマンにも人気の場所。桟橋とともに客船や帆船、富士山と夕景を撮りに来る方も多く、三脚持参でカメラを構えている方も見かけます。
写真中央は館山湾に停泊している「帆船日本丸」
また年に数回しか見ることのできない“ダイヤモンド富士”と呼ばれる富士山頂に落ちる夕日と、“パール富士”と呼ばれる富士山頂に落ちる満月の撮影が人気。ポジション探しに桟橋付近から北条海岸へと続く海岸線をカメラ片手に夕日を追いかける方も。
館山夕日桟橋から徒歩圏内の海岸線と、鏡ヶ浦越しの富士山
個人的には、「館山夕日桟橋」から続く波打ち際を素足で歩いたり、防波堤に座って語らうのが好き。館山湾は穏やかな湾だからか停泊する船も多く、東京湾の入り口でもあるので海外からのさまざまな船舶も眺めることが可能。何時間でも飽きることのない、魅惑的な情景が広がります。
また桟橋や海岸線をランニングするのも気持ちよく、ランナーにも人気のスポットです。海沿いには多くのカフェも点在しているので、コーヒー片手に海風を感じるのも気持ちいいですよ。
洲埼灯台は房総半島の最西端にある灯台で、館山湾の最西端であり、東京湾への入り口に位置する場所でもあります。
灯台までの道のりもおすすめポイントで、まるで映画に出てくる古城へと続く階段を登っているかのような雰囲気です。
灯台の敷地はこじんまりとしているのですが、その規模の小ささが、小高い丘からボーっとゆったり海を眺めるのにちょうどいい空間。また潮風を感じながら親密に語らうのもオススメ。個人的には、高台から海を見ることができ、大人のデートスポットでもある横浜の「港の見える丘公園」のような雰囲気を感じます。
それほど広くはありませんが、子どもが芝生で遊ぶのには十分なほど。外房と内房の両方の景色を堪能することができる貴重な場所です。
空気が澄んでいる日は、富士山はもちろんのこと、伊豆大島や三浦半島なども眺められ、太平洋の荒々しさと鏡ヶ浦の穏やかな海を感じられます。別名、「マーガレット岬」とも言われ、マーガレットや菜の花がきれいに咲き誇る時期に行くのも楽しそう。
写真中央の先端部に見えるのが「沖ノ島」館山湾はその先、写真左端まで続く
ドラマやアイドルグループのプロモーションビデオの撮影地としても有名な場所なので、どこかで見たことがあるかも!? ちなみに灯台の中には入れませんが、館山湾景や潮風を味わうには爽快感あふれるスポットです。
恋人の聖地で有名な3ヶ所に加えてもう1ヶ所、私のイチ押しスポットをご紹介します。それは那古寺の境内にある遊歩道の潮音台(展望台)です。
展望台から南西方向を望んで
山の中腹にある観音堂から、さらに急な石段を登っていくと展望台へ。南に館山市街地や城山、東に田園風景、西に館山湾が一望できる見張らし抜群の場所です。
展望台の西側に見える船形(ふなかた)漁港
中腹の観音堂は参拝客でにぎわいますが、展望台まで登る方はそれほど多くはないので、絶景をひとりじめすることができることも。東屋があるので休憩もできます。
中腹の観音堂エリアから展望台へと続く階段
中腹の観音堂エリアから先、展望台へは険しい階段が続きます。その険しさが登山をしているかのようで、すれ違う方とあいさつをかわすなど、プチ登山気分も味わえたり。
「式部夢山道」と名のつく遊歩道
中腹の観音堂エリアから展望台、そして那古山自然林の山あいを散策できる遊歩道があるので(山頂82.7メートル)、余力のある方はハイキングを楽しみながら下山してみては。季節によりさまざまな鳥のさえずりが聴こえ、風がそよぐと木立ちの葉ずれがし、知る人ぞ知る癒しのパワースポットです。
中腹の観音堂エリアから見える景色
ちなみに那古寺は、境内に桜が咲き誇ることでも有名です。そして、国重要文化財や千葉県の有形文化財などにも指定されている見どころも満載のお寺。お寺では非常に珍しい山車(だし)をひきまわすお祭りも有名。歴史好きお寺巡り好きの方は、一見の価値ありです。詳しくは、また別の機会に。
【所在地情報】
城山公園:千葉県館山市館山362
館山夕日桟橋:千葉県館山市館山1564-1(みなとオアシス“渚の駅”たてやま)
洲埼灯台:千葉県館山市洲崎1043
那古寺:千葉県館山市那古1125