南房総の海の幸を味わうならココ、書籍監修もしている女将さんの魚料理/

福喜庵 (南房総市)

公開日: 2019年07月30日

館山自動車道(正確には富津館山道路)の終点、富浦インターチェンジを降りてわずか1分。豊かな田園風景が広がるこのエリアの一角に、今回ご紹介するお店がたたずんでいます。その名も「福喜庵(ふっきあん)」。


地元南房総で取れた新鮮な魚を、女将さんがていねいに調理をしてお客さんに提供をしており、地元のお客様のみならず、都会の方からもたくさんの人が来るそうです。魚料理がとってもおいしいと評判のこのお店に、潜入してきました。


日常でありながら、懐かしさいっぱいの空間

店内に入ると、笑顔で女将さんが出迎えてくれました。木のぬくもりあふれるカウンター、外からの木漏れ日が差し込むお座敷。南房総のゆっくりと時が流れるおばあちゃんの家のような印象を受け、なんだか心がとても和んでいくのです。


カウンター席の近くには、ちょこんとテレビが置かれていて、この空間でぼーっとテレビを見ていると、小さいころ、おばあちゃんの家で毎日甲子園を見ていた夏休みの昼下がりやNHKのど自慢を見ながら、おばあちゃんと一緒にお昼ご飯を食べた週末のひと時が脳裏をかすめました。定食屋さんでこんなに懐かしさを味わうとは、自分でもびっくりです。


また、お座敷にある「大漁」の旗も風情があります。とても勇ましく飾られており、存在感があります。最近、畳の空間を見る機会が減ってきたような気がするのですが、やはり畳を見ると安心します。



とにかく厚いお刺身が自慢!

メニューは地元で水揚げされた魚料理がメイン。お刺身定食、海鮮丼(ここでは福喜丼と呼ばれて親しまれている)、焼き魚、フライ定食などなど種類はとても豊富で選ぶのがけっこう大変です。メニューは定番の定食ももちろんですが、その日に水揚げされた一品料理も多数。せっかくなので、新鮮な海の幸を生でいただくことにしました。ワクワクしながら料理を待っていると、ついにきました! 南房総の海の幸が詰まった福喜丼(1,300円+税)の登場です。



どんぶりからあふれんばかりのお刺身がたっぷり。そしてそのお刺身が本当に分厚いこと。新鮮なお魚はどれも脂がのっていて、口の中でとろけていきます。南房総に住んでいると、外食であえて海鮮丼を注文する機会はあまり多くないかもしれません。なぜなら、スーパーや近所の魚屋さんで、いつでも鮮魚を手に入れることができるから。私自身は普段は南房総から離れて暮らしているので、口にする機会自体少なくなりました。だからこそ、自分が生まれ育った場所にはこんなにおいしい海の幸があるんだ!とあらためて実感した瞬間でした。


実はこの日、私一人だけだといろいろなメニューを堪能できないので、都会の友人を連れて行ってお刺身定食(1300円+税)も同時に注文しました。それが冒頭の画像です。友人の反応はというと…「こんなにおいしくて新鮮なお魚が身近にある南房総はすてきすぎる」と喜んでくれたのでした!


お味噌汁や付け合わせの料理も、どれも優しい味わいで大満足。女将さんの「新鮮なお魚とおいしい料理を味わってほしい」という気持ちが料理からひしひしと伝わってきました。メニューをひととおり見てみると、郷土料理のなめろう、さんが焼き、くじらのたれ(南房総に江戸時代から伝わる伝統食で、くじらの肉を秘伝のたれに漬け込み天日干ししたもの)など、「房総の魚料理といったらコレ!」はすべて網羅されています。また、貝の煮つけや塩からなど、ついお酒に手が伸びそうな1品料理も多数。定食にプラスして注文してみると、より一層南房総の海の幸を味わえるのではないでしょうか。



魚に対する愛情の宝庫

女将さんは現在73歳。地元・富浦の網元の家に生まれ、毎日獲れたてのアジやイワシなど、たくさんの魚が食卓に並ぶ環境で育ちました。自然と魚の調理に興味を持つようになっていったそうです。若いころは東京で働いていた女将さん、昼間は会社勤めをしながら、夜は魚料理のお店で料理の修行をするという二足のワラジ生活だったとか。会社勤めをしながらというのが、たくましくカッコよく感じましたし、その熱い想いを瞳の奥から感じました。このような生活を経て、平成2年に地元富浦町で「福喜庵」をオープン、地域内外から支持されるお店になったのです。



なんと女将さん、魚に関する本の監修もしています。『魚いろいろおろし方、料理の仕方』(徳間書店)がそれ。書籍内に掲載されている女将さんのイラストは、実際に編集者とともにイラストレーターさんが来店し、魚をおろす姿をスケッチしていったそうです。実際に本を見せていただきましたが、非常にていねいでわかりやすく、そして魚の料理の楽しさと奥深さを感じる1冊です。女将さんが、本当に心の底から魚を愛し、たくさんの人々にそのすばらしさを知ってもらいたいという思いが伝わってきました。



お店があるのは富浦町福澤。「福喜庵」という店名は、この福沢の「福」を1字使用し、福澤の人を喜ばせる庵(いおり)という意味だそうです。ほほえみながら語る女将さんの話に耳を傾けながら、なんだかほっこりした気持ちになりました。今後もたくさんの方に房総の魚を味わってもらえるよう、より一層日々の営業に力に入れていくとのことです。


いつまでも元気においしい魚料理を提供してほしいと思わずにはいられない取材となったのでした。



【店舗情報】 

店舗名:福喜庵(ふっきあん)

営業時間:11:00~14:00(LO13:30)、17:00~21:00(LO20:30)

定休日:水曜日

所在地:南房総市富浦町福澤808-5

駐車場:有(15台)

WEB:http://www.fukkian.com/

電話:0470-33-4450

関連記事

ページトップへ