館山に“中パン”あり! 地元民が愛してやまない、昭和な老舗パンカフェ/

館山中村屋 館山駅前店 (館山市)

公開日: 2019年06月04日

とある日の昼下がり、ママと小学生の親子連れがパンやカレーを頬張りながらゆっくり流れるひと時を楽しんでいる光景がありました。目線を180度変えると、年配の女性仲よしグループでしょうか。アツアツの唐揚げを食べながら、会話に花を咲かせている姿も。


ここは館山市民なら知らない人はいないであろう、「中パン」の愛称で多くの人から親しまれる館山中村屋。館山駅前店の2階の喫茶コーナーにお邪魔してきました!


時代を超えて愛される老舗カフェ

館山中村屋の前身はなんと、明治時代創業の新宿中村屋。のれん分けで昭和2年(!)に館山の中村屋が誕生しました。駅前という立地から、その場で食べられるスペースがあるといいのではと、パン屋に併設するかたちで昭和30年ごろに喫茶コーナーをオープンしました。それから60年余り。文字通りいくつもの時代を越えて、長く地元民から愛され続けるパンカフェとして今も不動の人気を誇ります。


内装はとってもレトロで、赤いレンガ造りとぬくもりのある木目調の椅子とテーブルがトレードマーク。筆者の母親(50代半ば)も、「小学生のころから内装も椅子も、そしてメニューもほとんど変わらないのよ。小さいころから母と通い、そして、あなたを産んでからも何回家族で行ったことか。思い出せばキリがないくらい、ほんっとう~に思い出がたくさんつまった場所」と語ります。



私も振り返ること25年、思い出の中にはいつもこの「中パンの2階」がありました。物心がついたときから、両親に「今日は中パンにご飯を食べに行こう」と言われると、心の底からワクワクした記憶があります。そういえば、私の人生相談も、この椅子で、母と大きなプリンアラモードを食べながら聞いてもらったなぁ。時には親子喧嘩をすることもありましたが、そんなときに家族の仲直りのきっかけとなったのは「おいしい中パンの2階のごはん」だったかもしれません。そんなエピソードを専務の森さんに話したら、優しく微笑んでくださいました。


中パンの2階って、ただのカフェじゃないんです。メニューもたくさんあって、しかもどのメニューもほっぺたが落ちるほどおいしくて。つい、メニューのショーケースの前で何分も迷ってしまうほど、多くのメニューがあり、選ぶときのワクワクと言えばまさに“心が躍る”という表現がピッタリです。カレー、シチュー、パフェ、ピザ、ソフトクリームなどなど…。そしてなんと言ってもいちばんの人気メニューの「チキンバスケット」。


専務の森さんは語ります。「チキンバスケットは地元の方から本当に愛されていると実感しています。その秘訣は、地元のお肉屋さんが私たちのために良質なお肉を仕入れてくださり、それを先代から受け継がれた製法で確実に味を守ってきたからです」。パンだけでなくさまざまな料理を用意し、いつでもお客様においしいと言っていただきたいという強い想いから、味だけでなく見た目にもこだわってきたそうです。色のバランスを考えながら、地元の野菜業者さんなどの協力を得て努力してきたとか。


モットーは、「いつも同じ味でお客様に提供すること」。季節によって品質や値段の変動が激しい野菜でも、中村屋の努力でお客様の笑顔を生み出しているのです。


一風変わったカフェスタイルには多くの奮闘があった

実はこの館山中村屋の喫茶コーナーですが、注文方式や商品の提供スタイルは少し変わっています。まず、来店したらお客はメニューのショーケース の前に立ち、商品を選びます。テーブルにメニュー表もありますが、ショーケースを見ながら商品を選ぶお客が多いです。


心の中で商品を決めたら、「お会計レジ」に行き、番号が書いてある札を受け取り席につきます。しばらくすると、「ワゴン」に料理が乗せられ、店員さんが商品を運んできてくれます。



館山の人々はこれが「当たり前」と思っている人が多数いるそうですが、よく考えたらあまりほかのお店では見ることのないスタイル。実はこのスタイルの誕生にも、多くの奮闘があったそうです。


ここは駅前で、次から次へと多くのお客様が来店する際、従来のスタイル(席についてウェイトレスさんが注文を聞きにくるスタイル)だと待たせてしまうことがよくあったそうです。それがクレームになってしまったことも…。


そこで検討に検討を重ね、平成の初期に今のスタイルが確立。「始めは反対意見も多く、受け入れていただくのに時間がかかりましたが、なんとかその困難を乗り越え、今では『当たり前』と言っていただけるほどにまでなりました」。じつはこのお話をうかがっていると、幾度となく森さんは目頭に涙を浮かべるのでした。今でこそ「中パン」の愛称で知られる館山中村屋ですが、創業当時は戦争などさまざまな時代背景が伴い、困難の連続だったそうです。


私たち地元民が中パンを起点にたくさんの泣いたり笑ったりの思い出がある一方で、スタッフの方々にとってもまた多くの困難があり、地元民が聞いたら秘話とも呼ぶべきたくさんのエピソードがあるのだと気づきました。


数々のエピソードをうかがう中で感じたのは、いつの時代も、館山中村屋は支えてくれる地元民や業者の方々を大切にしているという事実。館山駅前で「中パンの2階」を繁盛させるために多くの努力を続けた証であり、地元民が何代にもわたって通うお店の理由を知った気持ちになりました。


朝食・昼食・おやつ…どのタイミングでも行ける、我らが中パン!

創業当時はパンの販売のみでしたが、喫茶コーナーによる食事の提供に始まり、モカソフト、あんみつ、ロシアケーキ、惣菜パンなどなどありとあらゆる人気商品を取りそろえ、地元のみならず都会のお客様も多数。1回足を運ぶだけではすべてを網羅しきれないことから、リピーターも多いです。


筆者も、都会から友人を招く際は中パンに誘います。朝食・昼食・おやつ…どのタイミングでも対応できるのがうれしいところ。また、お土産に中パンのパンやお菓子などを渡すことも。



おいしいパン、食事とともに、この房総で流れる時間が「楽しかった」と感じることのできる場所でありたい――これが中村屋のコンセプトだそうで、この空気をぜひとも地元の方のみならず多くの方々に味わってもらいたい。それは、中村屋のスタッフだけでなく、地元民も感じていることでしょう。


いつの時代も老若男女に愛される場所は、これからもずっと、人々の胸に刻まれていくに違いありません。


【店舗情報】

店舗名:館山中村屋 館山駅前店

営業時間:7:00~17:30(2階の喫茶は16:30L.O.)

定休日:火曜日

所在地:千葉県館山市北条1882

駐車場:有(10台)

WEB:http://www.nakapan.com/

電話:0470-23-2133


※館山バイパス店

店舗名:なかぱんカフェ

営業時間:08:00~18:00

定休日:不定休(火曜日は休業の可能性もあり)

所在地:千葉県館山市北条692

駐車場:有

電話:0470-23-1656

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