【2019年6月閉店】そこにあるモノを活かし、姿を変えてよみがえらせる。山の中の古民家カフェ/

古民家カフェ凛 Rin (南房総市)

公開日: 2019年02月01日

※2019年6月15日をもって閉店しました。


三芳地区は、南房総の中でも特に恵まれた純農村エリア。低い山々に囲まれたのどかな景色のなか、通り沿いに立っている「正林寺(しょうりんじ)」の案内板と並んで、カフェの看板が出ています。


案内通りに進む道は、私にとってとても行き慣れた道であり、行き慣れた家でした。宴会やライブイベントが数多く開催されてきた、思い出の場所。家主が変わり、同じ場所に登場したのは、古くて味のある家を活かして改修された、「古民家カフェ凛 Rin」。


カフェになる前の住人、さらにその前の住人と家を見てきた私にとって、「住む人によって、こんなにも変わるのか!?」という驚きの変身を遂げている場所です。


食器棚をカウンターに。ガラスをステンドグラスの傘に

敷地に入ると、円を描いた花壇の中にソテツがシンボルツリーのように立っていて、その向こう側に、立派な建物がどっしりと構えています。



向かって右側の建物が、カフェ凛の入り口。ガラガラガラと、ガラスが入った昔ながらの木戸を開けると、土間の空間が広がっています。外の光が入る窓辺は、2人席の小上がり。友だちとワイワイおしゃべりしながら過ごせるテーブル席もあります。



土間にあるカウンターの向こう側が厨房です。カウンター下の棚は、もともとあったもの。この棚の上には、ガラス戸がついた作り付けの二段の食器棚がありました。その一段目をガラス戸ごと取り外したというわけです。


戸に使われていた昔ながらのガラスを活かしたいと考えた、カフェのオーナーである益子恵さんは、ステンドグラス作家に依頼して電気傘を作成してもらいました。新たな命を注ぎ込まれた電気傘は、土間で活躍中。カウンターの右端にも、ステンドグラスの作品がはめ込まれています。


人から人へ、受け継がれていくモノたち

益子さんは、地元である北海道の学校で家政課を卒業していて、とにかく物作りが大好き。安房エリアで活躍しているキッズミュージカル「トゥルーカラーズ」の衣装を作ったり、手芸や消しゴムハンコの講師をしたり、羊毛で立体的な犬を制作する仕事をしたりしていました。


益子さんが飼っていた犬をモデルにした、フェルトの作品

カフェがオープンしたのは2018年10月。当初は、母屋全体がギャラリースペースとして使われ、レトロな電気スタンドや電話、蓄音機などがところ狭しと並んでいました。現在は、展示品に触れながらゆっくりと過ごせる空間になっています。


益子さんお気に入りのスペースで撮影

母屋のカフェスペースには、大きな木が堂々と立っている一室が。これは、前の住人が流木アーティストに依頼して作ってもらったオブジェ。家だけでなく、このオブジェも住人から受け継いだ益子さん。店内で使用している年季の入った家具も、知り合いから譲り受けた物が多数あるそうです。


店内や裏庭の改造は、まだ続いています。雑貨スペースは、益子さん同様手作りが好きな娘さんと一緒に、2人の作品を展示販売し「益子カラー全開にしていきたい」と今後の抱負を語ってくれました。


シーフードカレーと、北海道の地サイダー

益子さんのご主人はジャガイモが嫌いなため、益子家のカレーは昔からシーフードカレーだったそうです。ご主人が東京海洋大学の館山ステーションに勤務していたときは、シーフードカレーをたっぷり作って、学生たちにもふるまっていたとか。カフェのメニューを考えたとき、学生たちから好評だったシーフードカレーを「凛華麗(りんかれー)」として提供することにしました。



取材中、子連れの若い夫婦が店を訪れ、「またカレー食べに来ます」と言って去って行きました。彼らは東京海洋大学の卒業生だそうです。当時のシーフードカレーを懐かしんで、今でもこうしてカレーを食べに訪れる、元学生がいるのだとか。



ところで、みなさんは「コアップガラナ」という飲物をご存知ですか? 益子さんによると、北海道民に愛飲されている、コーラに似た飲物だそうです。ドリンクメニューに、「店長おすすめ!」の文字とともに記載されていたコアップガラナ。気になるので飲んでみたところ、「ドクターペッパー」に似た味がしました。私にとって、人生初のコアップガラナ体験。未体験の方はおためしあれ。


サイクリスト、ペット同伴、子連れでも楽しめます

カフェ凛には、サイクルラックが設置されているだけでなく、自転車の応急処置用の修理工具も常備されています。農村エリアの景色を堪能し、70年間この土地に根差してきた古民家の空間を味わう時間は、サイクリング旅の疲れを癒してくれそう。



ペット同伴でも、外のテラス席で一緒に過ごすことができます。子どもは、外に作られたブランコで楽しめそうです。


鏡の上の文字は、書道家に書いてもらった甲骨(こうこつ)文字の「凛」

その昔使われてきたレトロな物たちと、現代に作られた流木のオブジェ。そして、レトロなガラスが電気傘へと変身を遂げ、今なおこの家で活躍している癒しの空間が、ここにありました。


【店舗情報】

店舗名:古民家カフェ凛 Rin

営業時間:11:00~17:00

定休日:火・水

所在地:千葉県南房総市海老敷400

駐車場:10台

TEL:080-1088-7721

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